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2009年1月号

お正月気分もすっかり抜け、新春の冷え込むような空気の中を通勤、温かなノイエスに辿り着きます。
今年は、松本忠義展で幕開けとなり、1月5日から多くのお客様が来廊して下さいました。今年も12月まで充実した企画展がご用意してありますので、お楽しみ下さい。

新春の第2弾は、パリ生まれのアントワーヌ・アンリの展覧会です。
現在、パリからほぼ46キロ真南にあるカンヤという小さな村で制作を続けているアントワーヌ・アンリ。フランス中央のゴッホの絵でも知られているオーヴェルニュ地方にある山間部の小さなこの村は「芸術の村」と自ら命名、カルチャーを土台にした村興しを行っています。山間の村は、中央部から次第に商店がなくなり寒村と化す事態に面していましたが、この村の村長にある木工家具職人が「大企業を村に誘致することはできないが個人自営業の人材、特に自分と同じような職人、工芸家、そしてアーティストを村に新たに住み着かせることはできないか」と提案。「アートを軸に村興し」の構想が具現化したそうです。そこにある夫婦がアトリエを探していて、大アトリエのちょうど良い物件を見つけアーティストネットを作ろうと市長に面談、市との活性化構想と結びつき、その夫婦が舞台関係の大規模なイベント企画の仕事に携わっていた関係もあり、広報ルートを知っているということで村長から一任されました。カンヤをアートの村とすることで村そのものがイメージアップとなり、自営業者が古い店を再オープンし、村落が活性化し、新しい家族が入居することで地元のお店も潤い「カンヤ・アーティスト・ヴィレッジ」の誕生となったそうです。これは、専門誌や一般のマスコミで広く情報が流れたため「村のプロジェクト」賞も受賞。

その後、展覧会も企画、ウェブ・サイトも創設。移住希望者を意識して学校や福祉施設、買収可能な店の情報も提供、村長自ら相談に応じ、村の事情を知り尽くした村長は、移住希望者の良き相談相手となって不動産探しの手伝いまでされました。村長は、過疎化対策に励む地方や村落共同体には誘致の特別処置政策などがあるのでそのオリエンテーションもし、現在では陶芸家、工芸家、イラストレーターが新たに住み、携帯電話が通じない場所もあった村に高速回線を導入、グラフィックデザイナーなどのテクノロジーが必要な自由業者そして中小企業の誘致などにも積極的でパリからの脱都会組の人たちが出版社を立ち上げたり、「アートの現場」というアート・イヴェントを毎夏企画。ただ作品の展示だけでなく村全体を巡回してもらえるように、いろいろな作品展示をしています。2年目からは、「水」を継続的なテーマとして地球的エコロジー問題も取り上げ、その運動にアントワーヌ・アンリも日本通で日本語が話せるので大いに携わっています。その村の話を知った時、30年ほど前の話を思い出しました。

前橋市に美術館を・・・とある校長先生が訪ねてこられ熱心に語られた事です。資料を見せてくれたその先生は、すでに亡くなりましたが、はっきりとその表情は覚えています。
夢を追い続け、夢で終わる事がないようにするためには全ての分野の人の心が一つになるような共通な方向性が見えないと不可能な気がします。そして時間的にスピーディーに行動する事の重要性を感じます。
そんな望みを持ち続け、子供たちのために、市民のためにと走り回って亡くなっていった人がいた・・・という事を考えると、少しでも今の仕事をしている事にある種の責任を感じます。
そんな訳で1月24日から始まる「アントワーヌ・アンリ」展は、直接アンリからカンヤという村の事が聞けるという楽しみもあります。アンリは、1月31日(土)と2月1日(日)在廊しています。日本語は、流暢に話せますので、是非お出かけ下さい。
新年の「ノイエスだより」という事でちょっと熱が入りました。
温かいノイエスでお待ちしています。

〈ノイエス朝日のご案内〉

アントワーヌ・アンリ展
作家在廊 1月31日(土)・2月1日(日)
1月24日(土)~2月1日(日)
午前10時~午後5時

アントワーヌは、線と下地を重ねてゆく手法で、イメージを創り出していく。オートクチュールでキャリアを積んだ。「全然システマティックじゃないよ」と彼は言う。あらゆる手法を試みる。音楽みたいな色のリズムと本人が説明するように色使いを基礎とした世界を創り上げて作品にしていく。一九九六年から一九九八年まで日本に住み「彼の日本びいき」は、流暢な会話が可能となった。

沖村正康彫塑展
2月7日(土)~15日(日)
午前10時~午後5時

昨年の「第六回ノイエス展」に作品を出品した沖村正康氏のノイエス朝日で初の個展です。
長年、沖村正康氏の作品を見る機会を得て作品の持つ力を感じます。作品には品位が大切だ・・と言いますが沖村氏の作品には、その品位と温かさ(愛情)が静かに感じられます。是非多くの方々に沖村正康という作家の作品をしっかりと見ていただければと思っています。
「沖村正康作品集Ⅲ」は、ノイエス朝日(朝日印刷)で制作していますので、ご希望の方はお気軽にお問い合わせ下さい。
詳細につきましては、次回の「ノイエスだより」で。

〈県内の展覧会〉

豊田共子染色展 2月5日~10日  高崎・YOU HALL
電話 027・324・1120

岡庭呑石・田村吉康共作展 1月30日~2月8日
ギャラリー・オーツー 電話 027・235・1331

〈本のご紹介〉

「風の日和」 伊藤信吉生涯の足跡 採録・著 飯塚 薫 
発行 群馬県立土屋文明記念文学館・頒布価格1000円

伊藤信吉先生が前橋元総社の養蚕農家に生まれたのが明治三十九年、亡くなる平成十四年までの人間・伊藤信吉が一行一行に凝縮され、晩年、先生と多少ご縁があった私にとっては、久しぶりに先生の息づかいが感じられた一冊です。

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