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2006年11月号

日本人の「用の美」の歴史は古い。
現代でもスーパーのちょっとしたトレーにも大葉や染付を真似たプリントがされている。新鮮さが強調されたり、そこには日本人の「用の美」に対する美意識の断片が見られる。

ポイントを集めると小さな皿や器がもらえる、結婚式の引出物でいただいた器、みやげの異国情緒たっぷりの皿・・・。選ばずにキッチンに並ぶ器は以外と重宝するものだ。大量生産で作られたものが生活のほとんどを占めている。一方、そんな中で「作家もの」といわれる作品を食卓に使用する人々も増えてきている。
用のために生まれた雑器の美の中から「私の器」を選んで、生活に楽しみに見出すことが日本人もうまくなってきた。
ご飯茶碗、どんぶり、皿、鉢などは、「作家もの」を気軽に使うようになった。しかし、漆器を日常的に使うまでには至っていない。漆器の取り扱いが高級で扱いにくいというイメージがあるからだと思うが・・・。
漆の椀などは、食卓で使った後、さっと洗い、陶器などと重ねずに柔らかい布で吹き上げれば毎日使う器として、どれほど愛着がわく「用の器」としてむいているものか、分かると思う。

最近、群馬で漆の仕事をしている若い作家が数人いる。
心がけて出向いて作品を見せていただき、楽しんでいる。
木漆工芸家として安中で制作を続けている任性珍(イムソンジン)さんと奥様の大石祐子さんの二人展が12月2日からノイエス朝日で開催される。
任性珍さんは、韓国大田市に生まれ、韓南大学から石川県挽物轆轤技術研修所を経て、現在の安中で木漆工藝轆轤工房「世二」を設立した。
また、大石祐子さんは、川崎に生まれ東京大学工学部都市工学科を卒業後同じ石川県挽物轆轤技術研究所で学んだ。

若い二人が分業の技を全ての工程を手がける「ものづくり」にかけている。
「木目を生かした」美しい漆作品の数々を是非手にとって楽しんでいただければと思う。

また、12月19日から2月25日まで東京国立近代美術館工芸館で人間国宝の松田権六(漆工芸)の展覧会が開催される。漆のあらゆる技術を駆使した作品の中から主要作品を展示。併せて古典作品や現代に継承されてきた作品も展示される。年末から年始にかけて慌ただしい中であり、またちょっとした時間がとれたら出かけてみてはいかがでしょうか。ただし、12月29日から1月1日、1月9日、2月13日は休館だそうです。閲覧料、時間は直接お問い合せ下さい。

展覧会のご案内

任性珍 大石祐子 木漆工藝展
12月2日(土)~10日(日)
午前10時~午後6時(最終日は午後5時終了)

休廊案内

12月29日(金)~1月4日(木)は、完全休廊となっております。また、展覧会会期中以外は休廊している場合もありますので、会期以外でご来廊の場合は、ご確認の上お出かけください。

ノイエスからの本情報

「岡田刀水士初期作品集」 700円(税込)群馬県土屋文明記念文学館編
ノイエス朝日で取り扱っています。

今月の香り

イランイラン
マレー語で「花の中の花」という熱帯地方に咲く香り強い花から抽出した精油です。緊張や疲れをほぐすリラックス効果があるといわれています。香りが強いので少量を使うことをお薦めします。
美しい枯れ葉が道ばたに積もり、木々が淋しくなり、こんな時期は香りを楽しむのも良いと思います。

ティータイム

世阿弥の「風姿花伝」を本と野村万作の朗読、観世栄夫の解説テープと併せて読み、聞いています。
「花」とは、なにか?
「見せ所」といわれる芸能の「花」
「秘すれば花」といわれる「花」
情報過多の世、教えを受けることは簡単でも、花を感じさせる舞台、作品を作り出す難しさ。
作品に「花」あり、料理に「花」あり。文章に「花」あり、そして動き、生き方に「花」ありといえるには日常のたわいもない事に「秘すれば花」の精神があるように思え、また頁をめくっています。
「秘すれば花なり秘せずは花なるべからず」

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