命と向き合い、作品と向き合う掛川孝夫氏の姿をアトリエで見ました。作家のアトリエを訪ねる機会はよくあることですが、アトリエは作家の生命ともいえる「場」のような気がします。どれほどの仕事量をしているのか、作品が仕上がるまでの過程を覗き見るような大変興味深い体験です。 あらゆる大きさの作品が乱雑に並び、あらゆる手法の仕事を膨大に制作している姿は格闘している戦士のようでもあり、静寂の中で瞑想する聖職者のようでもあり、言葉をかける機会を失うような緊張感がある空間です。
東日本大震災の3.11で亡くなった方々、行方不明の多くの人々を「悼む」心、そして「遺された人」と向き合って作品づくりをしてきた掛川孝夫氏の大作を中心とした展示です。ノイエスで二〇一三年に展示したその後の作品を「あの日」を忘れないためにも鎮魂の心をもってご覧いただければと思います。
掛川孝夫
1951年 群馬県下仁田町に生まれる
1976年 全群馬青年美術展 優秀賞
1977年 東京藝術大学大学院修了 大橋賞
1989年 東京セントラル美術館油絵大賞展
1992年 ジャパン大賞展 文部大臣賞
第11回安田火災美術財団奨励賞受賞者展
1993年 第10回伊藤簾記念賞展 奨励賞
文化庁現代美術選抜展
1994年 個展（セントラル絵画館）
上毛芸術奨励賞
1995年 個展（高島屋東京店・高崎高島屋）
2008年 個展（高島屋東京店・高崎高島屋）
2013年 個展（ノイエス朝日 前橋）
2014年 個展（高崎高島屋）
2014年 グループ展（三人三様ドローイング・ノイエス朝日 前橋）
2015年 個展（富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館）
現在 群馬県美術会会員
